2014年11月20日木曜日

デマンド・レスポンスの考え方その3

ネガワットという考え方
 ネガワットとは、ピーク需要から削減した電力を発電したみなす考え方である。7月〜9月の電力需要が逼迫している状況にて、電力需要の削減に電力の需給バランスを確保する。
この逼迫された需要状況で、需要の削減量を発電量とみなしこの削減量を「ネガワット」と呼ぶ。
 「ネガワット」は、供給側(電力会社等)が、需要者(消費者)から、買取る仕組である。30分及び1時間単位で、0.5KWH、1.0KWHのネガワットとして、対価が支払われる(ネガワットの買取)。
ネガワット取引及びネガワット市場とは
 ネガワット取引は、同上の買取が発生された場合、その対価は、特別価格で消費者に「協力費」として支払われる。この「協力費」支払の原資は、発電所建設費用に相当する金額を原資とする。
 ネガワット市場は、電力会社が年間に渡る過去の電力需要実績により、直前の天気予報等を勘案して、需要が逼迫する週、日、時間帯に需要家に、「ネガワット」発電を募集することになる。
 さらに、もっと具体的な制度が進むと、買取る側の電力会社等が複数となり、供給先の複数電力会社に、複数需要家が応募し、競争的な買取市場が成立すると推定される。但し買取電力の基準値(ベースライン)の評価には、公的機関を決定し、不正が行われないように監視する必要がある。


 

2014年11月17日月曜日

デマンド・レスポンスの考え方その2

需要側と供給側とのバランスを保つ、デマンド・レスポンス(DR)
①ピークカットとピークシフト
 電力需要曲線(一日のベース電源、ミドル電源、ピーク電源をグラフで表したもの)を限りなく平坦に近づける。これは、瞬間電力量(KW)の最大値(ピーク値)を、いかに低く抑えるかが基本料金を低くすることに通じる。
 具体的には、ピーク時間帯(午後1時から3時)の需要を抑えたり、ピーク時間帯の需要を、需要の少ない時間帯に移すことである。前者をピークカット、後者をピークシフトと言う。
このピークカット及びピークシフトを行うためには、A「消費電力の可視化」とB「消費電力管理」をする必要がある。このAとBの仕組みによる需要側へのメッセージが、DSM(Demand Side Management)と呼ぶ。
 このメッセージを需要側に発し、ピークカット及びピークシフトを実行した需要者に対価として協力金を支払う経済的合理的な仕組を、デマンド・レスポンス(Demand Response)と呼びます。
次回は、ネガワットとについて述べる。

2016年電力小売の全面自由化に向けた電力ビジネス

  新電力EXPO2015は2016年電力小売の全面自由化に向けた、電力市場を活性化するための展示会である。電力供給サービス、デマンドレスポンス、再生可能エネルギーの活用、電力事業の支援サービスなどを一堂に展示し、企業、ならびに行政・自治体・団体の皆様の電力コストの削減や、エネルギー使用の合理化を推進する。
 また、電力自由化に伴い、電力販売を軸とする新たな電力事業モデルや、企業アライアンス、省エネ支援サービスの新規開発、異業種業界の電力市場の参入機会など、新たな電力ビジネスを創造する。







2014年11月16日日曜日

デマンド・レスポンスの考え方その1

 日本の典型的電力曲線は、時間帯により大きく変化する。今までは、①水力(流れ込み)発電②原子力発電③火力(石炭)発電をBaseLoad ①火力(石油、LNG、LPG)発電をMiddle Load ①水力(揚水、調整池、貯水池)発電をPeak Load 基本として、電力需給バランスを図っている。現在、原子力発電は休止中でその分火力発電の比率が高くなっている。


 各電力会社の供給電力は、安定供給体制のもとに、瞬間電力需要の最大ピーク値を賄える発電設備を設け、電圧・周波数とも極めて安定した高品質な電力システムである。当然消費者は、電力を停電もなく湯水のごとく使用している。
 このシステムは、年間数時間の年間最高ピーク需要に備えた膨大な余剰電力設備を、必要としなければいけない課題がある。各電力会社は、年間の内せいぜい10数時間程度だけ必要としない電力ポートフォリオのために、過大設備を設けその他の時間には、全く必要とされない電力設備を設けている。
 この必要とされない電力マネジメントの仕組みを、デマンド・レスポンス(DR:Demand Response)と呼ぶ。方法には、ピークカット、ピークシフトを活用した料金支払い方法がある。ネガワット買取、ネガワット取引、ネガワット市場もそのひとつである。



2014年7月30日水曜日

新電力のポートフォリの最適化とは

 新電力の供給電源ポートフォリオは、ベース電源、ミドル電源、ピーク電源がある。それぞれ自社所有発電所、ゴミ発電等の自治体及び企業からの電源購入、一般電気事業者からのバックアップ電源、IPP電源、再生可能エネルギー及びJEPX等からの購入がある。
 このベース、ミドル、ピーク電源のそれぞれの需給バランスを図りながら、扱う全電力量と価格を、適切にする自動最適化システムのプログラムを必要とする。

2014年7月26日土曜日

新電力の経営戦略まとめ

新電力の経営戦略1から5のまとめ
1、新電力の事業リスクとは
2、ベース電源、ミドル電源、ピーク電源の組合せシミュレーションについては
3、3つの電力供給源のポートフォリオをアグリゲーターとしてのマネジメントとは
4、事業リスクの最小限化を行うための電源の適正化とは
5、電力自由化の中で、『電力広域的運営推進機関』の組織的役割とは
以上についてコメントを述べた。


新電力の競争環境整備について
1、卸電力取引所の規模拡大(現在4%程度)させるために、一般電気事業者の電力余剰の市場性(赤字縮小における経営合理化の推進)を行政で法制化。
2、15兆円の電力市場は、少子高齢化のなかで増加することはない。したがって新電力が既存の一般電気事業者に勝つことは難しい。したがって消費者に対する差別化サービスをいかにするか。
3、一般電気事業者が、消費者から得ている消費電力情報4回/一日を、30分同時同量に基づいた48回/一日を公開し(経済産業省から一般電気事業者に通達 日経7月27日朝刊)電力情報の透明化を行う。
4、スマートメーターによる、ソーラー発電等の再生可能エネルギー及び自社発電、電気、ガス等を省エネルギーの総括的エネルギーマネジメントとしてに行う。
5、新電力は、消費者目線でクリエティブな企業として、電力マネジメント新サービスを積極に提案する必要がある。



新電力の経営戦略その5

 新電力の事業リスクは、一般電気事業者からベース電源としてバックアップ電源を購入しているインバランス料金マネジメント(アグリゲーター能力)手法と言っても過言ではない。変動範囲内並びに変動範囲超過分では、単価の差が3〜4倍設定されている。さらに当然高圧及び低圧の託送基本料金、託送従量料金の加算が生じる。
 経済産業省は、来年4月より『電力広域的運営推進機関』を認可する方針である。この組織は、公平のもとに発電等、送電、小売等の各企業から人材が派遣される。しかし送電線の『資産』は、各地域9ヶ所の一般電気事業者の持ち寄りで設立される。
 20年前から電力自由化をしている英国エコノミストが、最近コメントを述べている。結論:発送電分離した当時は、電力料金は低下したが、20年後の現在は以前より高くなっている。その理由は、送配電技術を囲い込みしてる組織が、天下り組織となり以前よりもさらに維持管理及び人件費が高騰した。
 やはり、日本の発送電分離による自由化は、発電及び小売事業は利益が期待できる分野、送電事業は、リスクが多く経営を透明化されると事業採算が悪い分野とみなされる。
 米国の停電及び英国の事例コメントを参考に、リスクの大きい送配電事業は、自由化よりもしろ官民協同又は完全国有化するのが望ましい。

2014年7月21日月曜日

新電力の経営戦略その4

 新電力(PPS)事業の業務範囲は、送電部門が自由化されていない関係上、基本的には小売のみとなり、顧客が使用した需要電力量を、新電力(PPS)が、構築された供給電源ポートフォリオ電力量により、伝票処理される。この需要と供給のバランスが崩れた場合(30分同時同量、3%以下の電圧確保)、一般電気事業者が自動的に顧客に電力を供給する仕組である。但し、その供給電力量に対して、一般電気事業者は、新電力(PPS)業者に数倍の価格で請求するインバランス料金が存在する。
 このインバランス料金を、最小限にする経営戦略が、新電力(PPS)業者の生きる道標となる。そのためには、需要電力量よりも供給電源ポートフォリオ電力量を最小限に多くし、又金額的にも当然多くするのが、最小限の新電力のミッション(ビジョン)となります。
 需要<供給 需要金額(小売)>供給金額(仕入) を確保するために、ベース電源、ミドル電源、ピーク電源の量と価格のシミュレーションを時間、週、月、年間ごとを平均気温を睨み合わせながら、電源の適正化をは図る必要があります。
 事業種別に、実績をもとに重回帰モデルを作成し、実績とモデルの最適化を図らなければいけない。重回帰分析と実績推論との適切な組み合わせが、電源最適化を導くことになる。

2014年7月20日日曜日

新電力の経営戦略その3

 新電力(PPS)認可業者は、この2年間で100社弱から250社を超える業者となっている。その中で自治体等の常時入札参加業者は、現在10社程度に至っている。又新電力(PPS)による供給電力シェアーは、やっと5%程度で、いまだに小規模状況にある。電力供給市場が95%あるので、競合によるリスクは少ないとみなされる。むしろ契約後一般電気事業者と比較して、電力供給の継続性にリスクが想定される。
 電力供給源として①公共施設からのゴミ発電 ②IPP市場(Jパワー等)調達 ③民間企業からの発電供給 ④再生可能エネルギーの買取 ⑤自前発電からの供給 ⑥一般電気事業者からのバックアップ ⑦日本卸電力(JPEX) ⑧PPSからの購入 ⑨その他 ①〜⑨までの電力供給源のポートフォリオをアグリゲーターとしてのマネジメント力が、新電力(PPS)のリスクヘッジとなる。常に仕入れ原価が、小売価格よりも安くなる手法を選定しなければならない。
 ①〜⑨の電力需給源のポートフォリオを、月ごと又は時間ごとに、A、ベース電源 B、ミドル電源 C、ピーク電源として適切にマネジメントを行うことが事業リスクの最大のヘッジとなる。
⑥の一般電離事業者からのバックアップ(3%以内30分同時同量)のインバランス料金を、最小限に抑えるマネジメント力が、新電力(PPS)の経営力となる。
 新電力の経営戦略その4は、新電力採算性改善について述べる。



2014年7月16日水曜日

新電力の経営戦略その2

 新電力経営戦略として重要なのは、電力ポートフォリオ(電力分布)をどのような形で、マネジメントするのか。というのは季節ごと又月毎の、①ピーク電源 ②ミドル電源 ③ベース電源との組合せシミュレーションが、新電力のアグリゲーターとしてのパワーとなります。
 当然、新電力と新電力とのアライアンス等も必要が生じてきます。30分同時同量制度におけるリスク管理は、金融工学でのファイナンス理論を駆使しなければ、経営は成立しない。新電力の営業認可は取得可能であるが、扱う件数が膨大になると、マネジメントにかなりのハイレベルな技術を要求されるため、企業としての継続性が非常に困難なのが現状である。
 

2014年7月15日火曜日

新電力の経営戦略その1

 新電力の認可企業は、250社を超えたと言われている。しかし、実際の自治体への入札業務に参加している認可企業は10社もない。電力小売事業には、事業リスクがあります。①30分同時同量制度 ②インバランス料金 ③託送料金 ④競合業者との価格競争 ⑤電力調達リスク等が挙げられる。どれ一つがクリヤーできなくても、倒産する可能性がある。

 特に、一般電気じ業者への託送料金及びインバランス料金の高さが、ネックとなり、新電力の事業収支を悪化している。2016年からの発送電分離を目指し、新電力のシェアを伸ばしつつあるが、5%にも満たない状況である。今後、新電力として又アグリゲーターとしてのマネジメントが重要である。

 具体的に、①一般電気事業者からの供給 ②火力発電事業 ③発電燃料調達 ④発電事業者からの購入 ⑤環境負荷の少ない(CO2 ゼロ)電力の扱い高 ⑥卸電力取引市場 ⑦その他等のポートフォリオの組み合せ技術(アグリゲーターによる調達技術と組合せ)が、重要である。

2014年7月13日日曜日

エネルギーの代替思考とは

 住宅の消費電力は、床㎡当り80Kwh〜300Kwhと言われている。照明はLED、使用するモーター及びポンプの効率を20%向上させると、80Kwh相当になります。又、建物の屋根・外壁及び窓、床面の断熱及び機密性能を向上させる。そして太陽ソーラー、地中熱を利用したヒートポンプ、コーゼェネレーションシステム、デマンドコントローラー等の再エネ及び省エネ技術を有効利用するスマートシティ構想を確立させれば、エネルギー問題は、かなり解消されると信じている。

2014年6月13日金曜日

再生可能エネルギーの経済性と種類について。

再生可能エネルギーの経済性
 再生可能エネルギーは、CO2がZEROという前提で普及しつつある。しかしエネルギーシェアは5%にも満たない状況で、太陽光発電のみが先行し、FIT(固定価格買取制度)のもと、国民負担の賦課金で成立している。
 賦課金は、固定価格買取価格に回避可能費用を差し引いたものである。この回避可能費用は、電力会社が固定買取価格にて、買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることが出来た費用(回避可能費用)のことで、再生可能エネルギーの固定買取価格の仕組みとなっている。
 経済産業省は、この費用の算定を行なっている。一般電気事業者は、発電コストの高い火力発電所の費用を総括原価として公表し、その費用に、回避可能費用を差し引き賦課金としている。


再生可能エネルギーの種類
 A、再生可能エネルギーとして①太陽光発電②風力発電③バイオマスエネルギー④太陽熱エネルギー⑤海洋エネルギー⑥地熱発電⑦中小水力発電 B、システムとして①系統サポート技術②スマートコミュニティ③発電・送電・配電の分離。





2014年5月15日木曜日

エネルギー管理システムとは

 エネルギー管理システムは、BEMS(ビル用エネルギー管理システム)、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)、CEMS(地域エネルギー管理システム)3つに大別される。この3つのうち、BEMSとHEMSを地域で、CEMSとしてエネルギーをアグリゲーターが最適化すれば、かなりの省エネが達成される。

①BEMSは大規模ビルではかなり浸透しているが、中小ビル、一括受電されているマンションにエネルギー管理システムは浸透されていない。中小ビルを複数棟にまとめエネルギーを融通する仕組み、又、マンションについては個別にHEMSを採用できる仕組みと助成金が必要である。システム費用としてイニシャルコストは高くなるが、システムによる省エネにより、ランニングコストは削減され、電力負荷の削減、CO2の削減、地球温暖化温暖化対策に効果がある。

2014年5月11日日曜日

原子力発電所の弱み、マグニチュード9以上の巨大地震が発生したデータとは?

 マグニチュード(M)9以上の「超巨大地震」は、20世紀以降、東日本大震災を含めて世界で6回発生している。チリ地震(M9.5:1960年)、アラスカ地震(M9.2:1964年)、アリューシャン列島沖地震(M9.1:1957年)、東日本大震災(M9.1:2011年)、スマトラ島地震(M9.0:2004年)、M9.0:カムチャツカ地震(M9.0:1952年)、それぞれ南米、米国、米国、日本、インドネシア、ロシアで発生している。

 超巨大地震の発生場所は、チリ、アラスカ、三陸沖など環太平洋に集中している。いずれも海のプレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込む海溝(境界部)で起きている。こうした場所は、巨大地震の危険地帯で、繰り返し発生している。M9級の地震は、歴史的に平均300年間隔で発生してきたとデータ的に証明されている。

 南海トラフは、1707年江戸時代に発生し、M9級であった。このためにプレート境界で起きる地震は、防災上の観点からM9級クラスの巨大地震が、日本に発生する可能性が高いと想定される(日経データクリップより)

 日本での原子発電建設の今後の是非は、以上の背景から巨大地震の発生の可能性の低い他国と異なり、経済的な論理よりも安全性を優先した論理を、優先的に考えるべきである。

2014年5月8日木曜日

本当に「原発が日本のベース電力」でよいのか?

 電力会社及び経済産業省は、マスコミを通じて「電力不足キャンペーン」を行なっている。彼らの主張は、エネルギー基本方針にて、「原発は日本のエネルギー需要を支えるベース電源」は、原発で、それを停止すれば企業活動が大変なことになる」というものである。もともと原子力発電の計画は最も高い8月のピーク時の電力をもとに建設され、それをセットで24時間止められないという理由で、深夜料金で稼働させる水力発電も同時建設された。まさに公共工事そのものであり、日本経済の発展に寄与した。

 その夏場のピーク電力は、ピークカットを省エネ技術により10%程度の行えば、建設は必要なかったと推察される。現状、日本の全原発を停止しても日本の電力は、停電が起きるなどといった不都合は発生しなかつた。

 各一般電気事業者双方の融通電力及び省エネ、節電によりピークカットがなされたことになる。原発には、損害賠償保険をかける保険会社もなく、先進国での原子力発電建設は、投資対象にならないとされている。トルコ、インド、ベトナムなどが、日本の発電技術を評価するのは、地震国である日本で耐える技術があるのだから安心!福島原発被害の直接的な理由は、地震ではなく津波であると解釈しているのが一般的な意見である。

 地震国(常に地殻変動が変化し、現時点で地盤が安全でも将来は分からない)日本では、100%保証できる原発は不可能である。①新設又は建設中の原発は、中止。②新耐震法以前(昭和56年)の原発は、当然近々に40年経過する前に廃炉。③稼働させられるのは原発は、過去の経験している震度の数倍にも耐える原子炉なえあば稼働は可能。①、②、③は全て一般電力事業者の経済的リスクを増して電力コストがかさむ項目である。

 原発の稼働は、電気料金値上げの大儀と一般電気事業者の原発が、廃炉となる経済的死活問題である。電力自由化による発送電分離は、どのような形でソフトランニングさせるかは、政策ひとつである。政財官とマスコミとの三角構図の癒着をどのような形で解体させるのか。新しい日本のエネルギー政策を構築させ、電力自由化の成長戦略の具現化が迫られている。

2014年5月6日火曜日

IEA(国際エネルギー機関)が描く再エネ45%普及の方策(日経ビジネス:山家公雄)日本の真の電力ベストミックスマネジメントとは?

 IEA(国際エネルギー機関)が描く再エネ45%普及の方策について、日経ビジネスで山家公雄氏が解説を行なっている。前日、私のエネルギー政策での共通部分もあるが、日本のエネルギー政策が欧米に比べ、ひと周りもふた周りも遅れているのは事実である。


 日本は先般、エネルギー基本方針にて原子力発電をベース電源とした政策が閣議決定される予定である。新興国を除き、他国のエネルギー政策は、一般的に原子力発電所新設の廃止、耐久年数の経過した施設の廃炉が、妥当性のある意見で一般化してきている。


 したがって、原子力発電に替わるエネルギーポートフォリオ(電力投資プログラム:電力ベストミックスマネジメント)を、経済的成長バランスを配慮しながら、いかに行うかが課題である。日本のエネルギー政策について前日は、ハード面でのポイントを中心に述べたが、ソフト面でのコメントを、IEAの報告書を参考に追記する。


 IEA報告書について、電力ベストミックスマネジメントの考え方は、安定電力源の火力及び水力発電をベース電源とし、再生可能エネルギーにて補足を行うことを基本としている。IEA報告書は、再生可能エネルギーの比率を向上させ補足率45%まで可能であるという報告である。


 欧米特に米国では、日本に比べ再生可能エネルギkwhあたりの発電コストが、風力発電で3.0セント、太陽光発電で大口、長期契約25年にて7.0セントを切る契約がなされている。原子力、石炭、ガスなどと変わらない価格で、再生可能エネルギーが取引されている。シェールガス革命によるガス発電よりもコストが安く資金回収が早ければ、ガス発電所の建設よりも風力及び太陽光建設にシフトして当然である。


 再生可能エネルギーは、安定供給に欠け、天候リスクによる効率が低いので、コスト高が大きなデメリットである。前日のコメントで述べている。再生可能エネルギーを有効に運用させるシステム構築を同時に進行しなければならない。このシステム構築により、かなりの省エネも期待できる。ここでは、①〜⑤までの運用組織のシステム構築を提案する。


①各アグリゲーターが、適切な需要側ピークカットを可能とし、全国共通のスマートメーター
②各電力会社の送電線の周波数及び電圧を見える化し、それぞれコントロールできるシステム
③①、②との連系する大規模蓄電池設備及びコントローラー
④マクロの電力卸市場とミクロのグリットオペレーターとの広域連系運用組織
⑤各地域ごとに火力及び水力をベース電源として、再生可能エネルギーをポーフォリオとして運用管理を包括する官民連携会社の設立(再生可能エネルギー制御センター
⑥地域分散型電力システム:日本版スマートグリッド&スマートコミュニティの確立


 




 









2014年5月5日月曜日

『エネルギー政策の方程式』 経営の視点(日経論説委員 松尾博文)についてのコメント

 国の新しいエネルギー基本計画は、重要なベースロード電源を原子力発電と位置付けされた。又、電力小売りを全面自由化する法案が国会で審議入りした。そして原子力発電建設についての新耐震法及び原子力規制委員会が定める新しい基準での補強対策費についても、各一般電気事業者は、予算の上乗せを行なった。

 電力ビジネスを企業の針路として決める条件は、①電力小売市場改革②東京電力の再建の行方③原子力発電の将来の政策この3つの方程式の解を見つけ、その答えに柔軟に対応できる意思決定をしなければいけない。しかし、この3つの回答は、双方が互いに絡み合い、矛盾を抱えて、容易に回答が解けないのが現状である。

 電力の各地域で独占事業が、発電、送電、小売をそれぞれ分割する法案が国会に提出された。国が東電の大株主として燃料の一括購入を行い燃料コスト下げ、東京湾岸に火力発電を新たに建て替える「包括的アライアンス」を検討している。

 以上の背景もとで、エネルギー政策をどのような形にするのが望ましいのか私見を述べる。但し電力小売りの全面的自由化をすることを条件。

①ベースロード電源は、原子力規制委員会が定める新しい基準をクリアーできれば再稼働させ、但し稼働40年後を目安に廃炉とする。又、新耐震法以前(昭和56年以前)の基準の原子力発電は、審査対象外で再稼働させない。

②地球温暖化要因となるCO2の排出量の多い石炭火力発電所を新技術(超超臨界圧力石炭火力発電)により、積極的に新設、改修する。

③中規模以上の建物は、コーゼェネレーション(熱源より電力と熱を生産し供給するシステム)とし建物間で融通するシステムを政策上で確立させる。

④地中熱ヒートポンプも③と同様である。

⑤再生可能エネルギーの太陽光及び風力の不安定電力を解消する蓄電池技術のコスト削減及びイニシャルコストの50%削減を行う。

⑥再生可能エネルギーをIT技術によるアグリゲーターのソフトパワーを向上させる。

⑦広域的運営推進機関の送電線における第三者審査運用会社とし⑤と⑥とのコアボレーションを積極的に図る。日本全体のアグリーゲーターを確立させる。

⑧電力卸売市場の積極的な活用と運用を図る。新電力のポートフォリオとリスク管理に重要

⑨新電力自由化市場の改革(新電力双方との合弁、M&A、海外企業の参入等)

2014年5月4日日曜日

「再生可能エネルギー技術白書」(第2版)が、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構より出版された。再生可能エネルギーの大量導入が目前に迫った今、導入拡大にあたっての革新技術、産業構造の変化、克服すべき課題と解決策などを国内外の貴重なデータとともに網羅的、体系的にまとめた技術文献である。将来、再生可能エネルギーの比率を25%程度にするために、安定的な水力及び地熱並びにバイオマス、そして不安定な太陽光及び風力とのポートフォリオの比率を、どのような技術で補えばよいのか参考になる文献である。

第1章再生可能エネルギーの役割、第2章太陽光発電、第3章風力発電、第4章バイオマスエネルギー、第5章太陽熱発電・太陽熱利用、第6章海洋エネルギー、第7章地熱発電、第8中小水力発電、第9章系統サポート技術、第10章スマートコミュニティ