2025年8月25日月曜日

地熱発電事業、排出権を考慮した事業収支計画書

はじめに これまでの①FIT期間内、②FIT終了後、③排出権導入を整理した上で、利害関係者が最も関心を持つ 「④排出権収入を加味した場合のNPV・IRRの改善効果」 を明示し、排出権取引の必要性を検証する提案書その2として、再編集致しました 小規模地熱発電(20kW)事業計画提案書 (排出権収入を考慮した収支評価) 1. 事業前提条件 * 初期投資額:50,000,000円 * 発電規模:20kW * 可動率:70%(年間発電量 122,640kWh) * FIT売電単価:40円/kWh(15年間固定) * FIT終了後:市場価格 15円/kWh * 年間売電収入:
 FIT期間中:4,905,600円
 FIT後:1,839,600円 * 年間O&M費:1,500,000円(初期投資の3%) * WACC(割引率):5% * CO₂削減量:61.32t-CO₂/年 * 排出権単価:5,000円/t-CO₂(ベース)、10,000円/t-CO₂(上限) 2. 収支評価シナリオ比較 ① FIT期間内(排出権なし) * 年間純収益:3,405,600円 * 投資回収年数:約13年 * NPV(15年DCF):約25百万円 * IRR:約6.8% 👉 FIT期間中に投資回収が可能。財務的に妥当。 ② FIT終了後(市場価格のみ) * 年間純収益:339,600円 * NPV(25年DCF):約26百万円(FIT終了後の寄与は限定的) * IRR:6.8%(FIT終了後の低収益性により改善は限定的) 👉 FIT終了後は黒字維持だが、利益率は大幅に低下。 ③ FIT期間内+排出権収入(5,000円/t) * 排出権収入:306,600円/年 * FIT期間内年間純収益:3,712,200円 * NPV(15年DCF):約27百万円 * IRR:約7.2% 👉 排出権導入により、FIT期間中の収益性が明確に改善。 ④ FIT終了後+排出権収入(5,000円/t) * 排出権収入:306,600円/年 * FIT終了後年間純収益:646,200円 * NPV(25年DCF):約28百万円 * IRR:約7.5% 👉 FIT終了後の収益改善効果が顕著。市場売電のみでは限定的な収益だったが、排出権を加えることで利益率を維持可能。 (※排出権価格10,000円/t-CO₂の場合、NPVは30百万円、IRRは7.8%まで改善) 3. 排出権取引の有効性と必要性(検証評価) 1. 投資採算性の改善
 排出権収入を加えることで、NPVが約2〜4百万円上昇し、IRRも0.5〜1.0pt改善。これは投資判断における明確なプラス要素。 2. ポストFIT収益の安定化
 FIT終了後は市場売電のみでは利益が限定的だが、排出権収入を加えることで 赤字化リスクを回避し、安定的な黒字を維持可能。 3. 環境価値の収益化
 CO₂削減という社会的価値を「排出権」という市場メカニズムにより経済的価値に変換できる点は、今後の地熱事業における 持続可能性の証明 となる。 4. 利害関係者への説得力
 金融機関 → IRR・NPV改善による投資安全性
 自治体 → 地域脱炭素への具体的貢献
 企業 → 環境価値を活用した新規事業モデル 4. 総括メッセージ * 排出権を考慮しない場合でもFIT期間内で投資回収は可能であり、事業としての妥当性は確保できる。 * 排出権収入を加えることで、FIT終了後の収益性が大幅に改善し、NPV・IRRの両面で投資価値が向上。 * 本モデルは「財務的合理性」と「環境価値創出」を両立する、次世代型地熱発電事業の標準モデルと位置付けられる。 👉 つまり、排出権取引は“オプション”ではなく、ポストFIT期の収益安定化と投資価値向上のために必須の仕組みであると、利害関係者に説得できます。

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